…再婚。
そんな話聞いてない…。
冬馬兄ちゃんを見ると、「俺も5日前に聞いた」と静かに言った。


「僕は家族に囲まれて凄く幸せだし、冬馬だって美和ちゃんと幸せに暮らしてる。
誰も何も責めはしない。
麻実ちゃん、君も幸せに暮らしてるだろ?」

「…はい」


泣き出しそうな声で返事をした麻実ちゃんの肩に、お義父さんは優しく手を置いた。




――……。


その後、さやかさんたちを交えながらパーティーを始めた。
圭太郎くんはさやかさんと前夫との子だと教えてもらったけれど、お義父さんは圭太郎くんと本当の父子のように楽しそうに話してる。

それからさやかさんは、「私たちまですみません…」と申し訳なさそうな顔で謝っていた。


「“再婚おめでとうパーティー”にすれば問題ない!」


…2時間後に来て事情を知った良明くんがクラッカーを鳴らす。

まるで子供のようにはしゃぐ良明くん。
唯一の子供である圭太郎くんに「おじさんウルサい」と言われ、その後少しへこんでいた。


…私と冬馬兄ちゃん、麻実ちゃんに良明くん。
私の両親に冬馬兄ちゃんのお父さん、そしてさやかさんに圭太郎くん。


たくさんの人がテーブルを囲み、みんながみんな、笑顔で話をしている。
幸せな、時間。


「こんなに人が集まるなんて、これから先、無いだろうね」


隣に座る冬馬兄ちゃんがビールを飲みながら笑った。


「賑やかなのって良いね」


笑顔は人を幸せにする。

どこかで聞いた言葉だけど、その通りだと思った。


「賑やかになるように、子供作ります?」


耳元で言う冬馬兄ちゃんは、周りに気付かれないようそっと頬にキスをした。