――……。


その3日後。
仕事を終えて帰宅した私が見たのは、明かりがついた冬馬兄ちゃんの家――。


「お母さん、冬馬兄ちゃん帰ってる…?」


なんとなく、聞いてみた。


「うん、さっき来たけど、美和がまだだったから帰ったよ。
行ってきたら?」

「…ん」


帰ってる…冬馬兄ちゃんが帰ってる…。
どうしよう。どんな顔して会えばいいだろう…。


「冬馬くん全然変わってなかったなぁ。羨ましい」


お母さんは笑いながら私を促す。
だから私は、着替えも済ませないまま冬馬兄ちゃんの家へと向かった。




毎週土曜日必ず掃除をしている家…慣れているはずの家なのに、ドアを開けることが出来ない。


(…合い鍵はあるけど、やっぱりチャイム鳴らした方がいいかな)


…数分間悩んでいたけれど、意を決してチャイムを押す…数秒前に、ドアが開いた。


「おぉ、ビックリした」

「あっ…」


ドアを開いたその人は、冬馬兄ちゃんによく似た人。


「もしかして美和ちゃん?大きくなったねぇ」


その人は、もう何年も姿を見ていなかった、冬馬兄ちゃんのお父さん。


「あいつ、帰ってるよ。
あ、でも今風呂入ってるから…少し僕に付き合ってくれないかな?」

「あ…はい」


冬馬兄ちゃんと同じ優しい笑顔で私を見つめる。

…それから私たちは、コンビニまで一緒に歩くことになった。