…しばらくし、ユウ兄が戻ってくる。
俺を見て、少し安心したような顔をした。


「お前はほんと、事件と遭遇しやすいなぁ」

「…俺だって面倒は避けたいよ」


もう二度と、事件なんかには巻き込まれたくないのに。
…でもこれは、“俺”が引き起こしてるのかな?

そうだとしたら…――。


「…ねぇ、俺が居るから事件が起きるのかな?
俺が関わらなきゃ、もう美和ちゃんたちはツラい思いをしない?」


そう言った俺の頭をユウ兄は強めに叩いた。


「人は一人じゃ生きていけないよ。
“誰か”や“何か”との関わりがあるから生きていける。
だから人生は予想不可能で、思い通りには進まないものなんだ」


ユウ兄は柔らかい笑顔で、今度は俺の頭を撫でた。


「もしお前が事件を呼び寄せてるとしても、俺はお前から離れる気なんてないし、逆にお前の力になってやりたいと思ってるよ。
少々、面倒ではあるけどね。
きっと彼女たちもそう思ってるよ」


ユウ兄は言いながら麻実の家を見て、ゆっくりと手を離した。


「さて、行こうか」


シートベルトを手早く着け、もう一度俺を見て笑い、車を走らせた。




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