……。


私、迷惑かけ続けてきたな…。
今日麻実ちゃんに言われるまで気付きもせずに。
冬馬兄ちゃんにいつも色々買ってもらって、それを「当たり前」とすら思っていたかもしれない。

私…本当に、最低だ。


「…色々ごめんね」


私の言葉に首を傾げる冬馬兄ちゃん。
だけど私は、言葉の意味を説明することはしなかった。
自分の恥ずかしい部分、それを言いたくなかった。


「…ところで、いつの間に彼氏出来てたの?
俺、全然知らなかったよ」


何も言わない私に「何か」を感じたのか、冬馬兄ちゃんは話題を変える。
でもその話題は、あまり話したくないこと…でも、否定しなきゃいけないことでもある。

私と良明くんはなんでもない。
そう言わなきゃいけない。


「…良明くんは、彼氏じゃないよ」

「そう?仲良さそうに見えたけど。
美和に彼氏が出来たら、俺は嬉しいよ」


……。
嬉しい?
私に彼氏が出来たら、嬉しいの…?


「もう、帰るね」


冬馬兄ちゃんに告白して、玉砕して、4年経った。
でもまだ私は冬馬兄ちゃんが好きで、ずっと…冬馬兄ちゃんを想っていたのに。

私の気持ちなんて知らない。気付いていない。
4年間ずっと、ううん、その前からずっと…私は冬馬兄ちゃんに片思い。


「…学校、もう送ってくれなくていいよ」


背中を向けて放った言葉を、冬馬兄ちゃんはどう感じただろう?

返事を聞く前に私は家を出て、自宅に戻った。


…やっぱり私、ただの幼なじみ以上にはなれないんだ。
私が冬馬兄ちゃんを想う気持ち、全部…意味の無いものだったんだ。


――……。