…見たことのない、冷たい瞳。
良明くんがそんな顔をするなんて思ってもいなかった。

だけど良明くんは、冷たい瞳のままゆっくり立ち上がる。


「その子、離してくれなきゃ困るんだけど」


周りにいる6人の男たち。
彼らの顔を一通り見た後に、私を冷たい目のまま見た。
背中がゾクリとするその視線。だけど男たちはケタケタと笑いながら良明くんに近づく。


「俺らもこの子を連れて行かなきゃ困るわけよ。
お嬢様の命令、でね」


言うか言わないかの前に男たちが良明くんに襲いかかる。


「良明くん!お願い、離して!」

「離すわけねーだろ、バカか」


ケタケタと笑う男たちは、異常だった。
私よりも少し年上に見える男たち。彼らは容赦なく良明くんの体を殴り続ける。
だけど良明くんは、ガードするだけで反撃はしなかった。


「こいつ激弱じゃん」


誰かが言うと、攻撃が止まる。
それから私を掴む男が言う。


「警察に言ったらこの子がどうなるかわかるよね?
守りたいならこのまま家に帰っておねんねしときな」


狂った笑い声の中、私はまた無理矢理に移動され、良明くんはその場に座り込むだけだった。


「良明くん!」


遠く離れた良明くんは、私を見て何かを言った。
だけど聞き取ることなんて出来なくて、私は車に乗せられ、そこを後にした。




.