「俺がどんな話をしてもあいつはちゃんと聞いてくれる。ま、嫌そうな顔しながらだけど。
それでもやっぱり、聞いてくれてるって思うと嬉しいんだよね。
すっげー突っ込んでくる時は面倒に思うこともあるけど、やっぱり一緒に居て楽しいんだよ」


それって、つまり。
良明くんは、


「麻実ちゃんのことが好き?」


………。


う…つい、言ってしまった…。

頭の中で出したつもりだった言葉が、そのまま良明くんに聞こえてしまった。
慌てる私と、考え込む良明くん。


「…美和ちゃんのことは好きだよ。今は友達として、だけどさ。
でもあいつのことはよくわからない。
一緒に居たいって思うけど…それが“好き”って気持ちになるのかな?
それなら好きなんだろうけど」


…つい言ってしまった言葉に良明くんは真剣に答えてくれた。
だけど、麻実ちゃんに対する気持ちはなんだか曖昧だ。


「ごめん、ほんとにわかんないんだ。
比べるようなことじゃないってわかってるけど…美和ちゃんと一緒に居た時はいつもドキドキしてた。
でもあいつと居てもドキドキはしない。ただ楽しいだけ。
多分好きなんだろうけど、恋愛で言う好きではないのかもしれない」


…友達としては好き。恋愛感情は、無い。
良明くんはそう言っている。


「…ごめん、とりあえず宿題しよっか」

「あ…うん、そうだね…ごめんね変なこと聞いちゃって」


…その日、それ以上麻実ちゃんの話をすることは無かった。
宿題をしながら話すのは土曜日に行く遊園地のことや、休み明けすぐにあるテストのこと、など。
いつも通りの笑顔を見せる良明くんに私も笑い、宿題を進めていくだけだった。




.