………。


冬馬兄ちゃんは優しい顔で私を見ている。


「責任を、取らせてほしい」

「…責任?」


なんのことを言っているのかわからない私に、冬馬兄ちゃんは苦笑気味に笑った後に言う。


「これから先の人生を、俺に預けてくれないか?
もう一人にしたりしないし、ツラい思いもさせない。
幼なじみという関係じゃなくて、恋人として俺の傍に居てほしい」


………。
その言葉は、ずっと私が望んでいた言葉…。
冬馬兄ちゃんの口からは一生聞くことがないと思っていた言葉。


「ダメかな?」


やっぱり優しい顔。私が好きな顔。
これから先の人生、冬馬兄ちゃんが傍に居る人生…。
それはもう、叶わない願いなんかじゃないんだ。


「私、冬馬兄ちゃんの傍に居てもいいの?」

「うん」

「本当に?」

「本当だよ」


…ずっとずっと、傍に居られる。


「本当は美和がハタチになるまで待つつもりだった」

「…でも、その時私は別の誰かと付き合ってたかもしれないよ?」

「その時はその時。俺は幼なじみとして祝福するだけ」


言いながら冬馬兄ちゃんは顔を近づけた。


「俺に責任を取らせてほしい」


もう一度放たれたその言葉に、私は小さく頷いた。

そしてゆっくりと重なる唇。
おでこにされるキスとは違う温かさを感じながら、静かに目を閉じた。




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