「…もうヤダ、わかんないよ。
好きならいいじゃない。傍に居たいならいいじゃない!
どうしてダメなの…私は冬馬兄ちゃんが居てくれるならそれでいいのに…どうして…」


…もう、どうすればいいかわからない。
幼なじみとして笑い合うことが出来るなら、恋人としても笑い合えるよ、きっと。
振られてからもずっと私は冬馬兄ちゃんを見てきた。
振られてからもずっと、一緒に笑い合ってきた。


「美和、聞いて。
人間は常識に縛られて生きているんだ。それから外れたらもう普通の生活は出来なくなる。
俺は、美和を幸せにしたいからそれに従ってる。ずっと一緒に笑い合いたいから、今まで我慢してきたんだよ」


常識。それはそんなに大事なモノなのかな?
それがよくわからないのは、私がまだ子供だから…?


「美和」


私に触れる冬馬兄ちゃんは、そっと静かに言葉を続けた。


「今からじゃもう遅いか? 4年前じゃなきゃダメだったのか?」