……。


空気の流れが一瞬止まった。ような気がした。
その中で冬馬兄ちゃんは言葉を続け、私の手をそれまで以上に強く握った。


「それは俺が前に言った言葉。
…同時に、“付き合うとかそういうのは出来ない”って言ったんだ」

「………」


…意味がわからない。
幼なじみ以上に好き。だけど付き合えない。

な ぜ ?

…私が思い浮かんだ理由はただ一つ。


(…年の差があるから?)


私が子供で、冬馬兄ちゃんは大人だから。
だから私たちは付き合えない?


「…子供だと思ってた美和が中学に入ったら急に女っぽくなって…俺の心から離れなくなった。
告白された時、本当は凄く凄く嬉しかったし、抱き締めたかった」


懐かしそうに話す冬馬兄ちゃんは私の手を離し、言葉を続ける。


「でも、俺はハタチで美和は13歳。
ダメなことだってわかってた。だから突き放したんだ」


…やっぱり年の差があるから、私たちは付き合えないんだ。
年の差7歳。

だけど――。


「好きってだけじゃダメなの…?
年の差があったって、今までずっと楽しく話してきたよ?」


年の差があってもいつも笑い合っていた。
冬馬兄ちゃんと一緒に居るだけで楽しかった。

付き合っていなくても、
幸せだった。


「幼なじみならいつだって笑い合える。
だけどそれ以上になったら、笑って生活なんて出来なくなるよ。
世間が、許してはくれない」


…世間体。
ソンナモノの為に私は、私たちは…傍に居られない。




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