ふぅっと小さなため息をついた時、私を見た。
「全部言う」
…それが良明の答え…。
だけど、それを美和に話すのは刺激が強すぎるんじゃないか…と心配になる。
事実を話した時、混乱してまた私の前から消えてしまうんじゃないかって…怖くなる。
「…話して大丈夫かな?混乱しない?」
不安ばかりが大きくなる。
だけど良明は私を見つめたまま言う。
「混乱はするだろうけど、でも言わなきゃいけないよ。
俺は、隠されていた事実を知った時の方がツラい」
「…そういうものかな?」
美和は、事実を知ったらどんな顔するだろう?
どんな風に私たちを見るだろう?
素直に受け止めるかな?それとも、逃げ出してしまう?
…事実を知らない方が幸せ、ってこともあるよね…。
「正直俺は、美和ちゃんが付き合ってるつもりならそのまま付き合っていたい。
だけどさ…俺がしてきたことを隠すってことだろ?
それってズルいよ、絶対」
良明はまだ美和が好き…だけど、偽って生活していくことは出来ない…。
だから言う。全てを、ありのままに。
「…て言うか、美和ちゃんって冬馬さんのことが多分一番好きだろ?
で、冬馬さんも美和ちゃんのこと好きだろうし。
そうすると俺、邪魔じゃん?
だから大丈夫だよ、きっと」
…大丈夫、って言い方はあまりしっくりこないような気がする。
だけどやっぱり良明は笑い、「大丈夫だよ」と言葉を続けた。
「美和ちゃんはきっとわかってくれるよ」
「…うん」
ぽんっと私の頭に手を乗せて優しく撫でる。
それから微笑むようにしてどこか遠くを見た。



