どう言えばいいか迷う私を今度はジッと見てくる。


「…なぁ、バイト終わるのってさぁ夏休みが終わる十日くらい前だっけ?」

「ん?多分そう…だけど何?」


少し考えた後、良明は笑う。


「俺さー宿題サッパリやってないんだよね。
だから、教えてくれるとありがたいんだけど」

「…あ、そう。まぁ、いいけどね。
私もまだ少ししかやってないし」


そんなことか…というのが本音。
本当は、“あの言葉”を実現させる気?と思った。
でも、そんなこと無いよね。
私は過去を捨てたわけで、その過去でした約束…というか良明が一方的にだけど…とにかく過去での話だから、実現なんてあるわけない。

だけど、良明は続けて笑う。


「一段落したら一緒にどこか行こうか。
せっかくの夏休みだもん、バイトと宿題だけで終わらせたら勿体無いだろ?」

「あ…うん」


予想外の言葉。
だけど、少しだけ嬉しい。

良明は多分、昔の約束を果たそうとかそんなことは考えていないと思う。
純粋に、私を誘ってくれた…ように思う。

良明の気持ちはわからないけれど…私は、バイトを終える日が楽しみになったのは確かだ。