時計は午後3時を回ったところだ。
旅館では夕食の支度が既に始まっている。
今日は団体客が入っているらしく、いつも以上にみんな忙しそうだ。
「伯母さん、かき氷のシロップってまだあったよね?」
「あ、無くなっちゃった?ちょっと待ってねー」
ちょうど来た伯母さんは笑顔で奥に消えていく。
そして2、3分待つと、袋に山ほど入ったシロップを持って戻ってきた。
「ちょっと重いかな…大丈夫?」
確かにずっしりと重い。
一つならそう重くないけれど、袋いっぱいのシロップはやっぱり重い。
「休憩しながら行くから大丈夫。
伯母さん、ありがとう」
なんとかそれを抱え、歩き出す。
だけど外は暑く、休憩をしながらでもなかなか前に進めない。
「…ねぇ、手伝おっか?」
そんな風に言われたのは、ビーチが見えてきた頃だった。



