「翔ちゃん、起きないと…って、起きてる!」

急に家に入ってきたと思えば、リビングに居る俺を見て妖怪でも見たかのような顔をしてきたのはもちろん、香奈枝。

「俺だってちゃんと起きるわ」
「せやけどさ~!」

俺たちのやりとりを微笑ましく見ている母さんの視線に気づいた俺は席を立った。

「ほな、行ってくる」
「いってらっしゃい。香奈枝ちゃん、翔太をよろしくね?」
「はい!任せてください!」

香奈枝は母さんに手をひらひらと振った。

「行くぞ、香奈枝」

俺は荷物を持ってリビングを出た。