がしっ…と、手を捕まれる。
それ、アタシが落とした靴だから入るよ…。
アタシが迷っていると、王子は執事からガラスの靴を奪い、アタシの前に座る。
そして靴を履かせた…。
靴は、私の足にビックリするくらいフィットしている。
どうしよう、靴入っちゃったよ…。
いや、あたしが落とした靴だから当たり前だけど…。
何を戸惑っているかは、自分でも分からない、けど。
何かが、いけない。
胸の奥に、嫌な予感が降り積もる。
王子は立ち上がる。
そして私の腕を強く引いた。
グイッ
「ちょっ…!?」
「会いたかった…!」
強く抱き締められる。
少し戸惑ったけど、私も彼の背中に腕を回した。
胸のつかえが、何故か、溶けた気がした。
「ぼ、ぼっちゃま…
その…使用人を迎え入れるのですか?
…そんな灰かぶりを…」
執事がうろたえる。
それもそうだろう。
私は今、ただの汚い、灰を被った使用人だ。
無意識に、彼の背中に回した手に力を入れた。
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