目を覚まして目の前に広がった顔は私の望んでいた人の顔ではなかった。





白い肌、赤い瞳。ひどくきれいに笑うあなたの顔。








「おはよう、アリス」

「…、ここ、は…」

「帽子屋のところだよ」







カスカスの声で質問すれば、ひょうひょうとした声が返ってくる。




帽子屋邸…ああ、私、かぐやのところから戻ってきたのか







なんて呆然と思考を巡らせていると、さらに近い距離になった








「っ、うわっ!」

「まだ気分悪い?」

「い、いや、大丈夫…」






顔が離れたから私も起きる。すると起きたと同時に扉が開いた。







「やあ帽子屋さん。アリスは今目覚めたよ」

「…っ、アリス…」

「?」

「ちょい…こっち来い」

「…うん?」







いつもヘラヘラしてる顔ではなかった。それはとても深刻そうな、痛そうな顔。


わたしは不思議に思いながらも彼のところに歩み寄った











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