確かに一風変わった女ではある。けれどもミー子は俺に危害を加えることなど絶対にしないだろう。出会って数時間の女に対し、俺はそんなことを真剣に考えていた。
「よし」
 手の中が空になると、俺は自分自身に言い聞かせるように息をついて立ち上がった。
 子供用の水飲み場まで行くと蛇口を捻って手を洗う。水は生温くなっていた。
 俺を追ってやってきたミー子も真似るように流れる水に手を差し入れる。細かな飛沫が赤い膝に跳ねた。
「買い物に行くぞ」
 腰を屈めた状態からミー子が顔を上げる。降り注ぐ直射日光で、髪の毛が熱を持つのを感じた。
 ミー子が俺にしたように、俺も夏にふさわしい満天の笑みを浮かべた。
「女の子のお泊まりには色々準備しなきゃいけないものがあるってこと、ミー子に教えてやる」

 一度アパートに戻って着替え直してから、俺とミー子はバスに乗って小型のショッピングモールへやって来た。
 ランジェリーショップに放り込んでいくつか下着を購入させる。
 洋服は俺がミー子に似合いそうな雰囲気の店を選び、店員を交えて3人で決めた。レトロなワンピースにサイズの合わないビーチサンダルという不思議な格好をした女に、店員は嫌な顔ひとつせず付き合ってくれた。