そう言ってあたしから消しゴムを奪おうとしている・・・




手と手が触れている・・・ドキドキ・・・





その時、日向がくしゃみをした・・・今だっ!




バッ!



シュッ!




開いてみると『西』って言う字・・・もしかして・・・




バッ!



あともう少しのところで日向君に取られた・・・





「言っておくけど、お前じゃないから。」





それから私にきつい一言。





「もっと、可愛くて。身長が俺より小さい子だから」






・・・「わかってるよ・・・」




・・・『自分より、背が小さい・・・。』



分かってるけどなんか胸がざわめいている・・・。

・・・


それから2人とも沈黙・・・



「んじゃ、俺、部活行くわ。角ティー(角先生)に言っといて」



「うん・・・。」



いつもならダメって言えるけど今は言えない。そんな感じ・・・。


【日向side】


やべ・・・西川と手が触れ合ってる・・・。



ん?・・・ぶえっくしょん。あっ!!やば、こうゆう状況でくしゃみ?



あっ!!やばっ!!西川に消しゴムを取られた・・・



・・・バレた。



俺はかまわず西川から消しゴムを奪った。



・・・「お前じゃないから」・・・



つい言っちまった。   本当はお前だっ!って言いたかったのに・・・



だってあいつは、龍が好きなのだから。




そして言ってはならぬ禁句を・・・



「お前よりかわいくて、身長が小さい子」・・・


・・・ヤバっ。つい昔の本音を。


アイツは泣きそうな顔をしている・・・



そんなの見てられねぇー・・・



「俺、部活行くわ」



今俺が言えるただ一つの逃げ言葉。


「うん」


俺はあいつの顔を思い出すだけで胸が苦しくなった・・・


俺はやっぱりダメな男だな・・・