「戻りましたー」

彼が奥にいるであろう人に声をかけた。


あたしもついでに

「・・・おじゃましまーす」

とか言ってみる。


彼に
「いや、あんた客でしょ」
と突っ込まれた。

あ、ハイ。わりと強制的に客になりましたけどね。


「はいコレ」

火がついたままのタバコを片手に、あたしは灰皿を渡された。

「お好きな席にどうぞ」

「あハイ」

とりあえずあたしは店内を見渡せるカウンターについた。



「あれ、荻くん お客様?」

奥からアゴヒゲの男の人が出てきた。
オーナーかな。
めちゃくちゃマスターって感じ。
茶色のミディアムショート。
パーマスタイルね。
こちらもタブリエ。うん似合う。

オギって言うのは・・この子か。

ここでも人間観察。


「店長、今なんか出せますか?お客様飢えてそうなんで。」

ってちょっと!
ばっちりお腹の音聞いてんじゃん!

「あー出せるよ。軽食程度だけど」


「あ、あの~・・
 一服とコーヒー頂ければいいんで・・」

なんだか気恥ずかしくなって応答するも


「空腹にコーヒーはキツイから、どうぞ食べてって」

と、店長。