浩樹はなんだかニヤニヤしてる。



『結城ちゃんさぁ、龍司のどこが好きなの?』



『…全部好き』



『マジで?龍司冷たいでしょ。俺の方が優しいよ』



『龍司優しいもん』



『あいつ、めちゃくちゃじゃん?もったいないなぁ、龍司の女にしとくの。俺の方が絶対いいって!』





浩樹があたしの手を握った。



あたしはその手を振り払った、

いや、振り払おうとした。


浩樹の手に力が込められる。



そのまま引き寄せられた。


何言ってんの?

サイテー!こいつ!!



『やめろバカ!』



あたしは死に物狂いで抵抗した。



『優しくするから。』



『やだぁ!さわんないで!!』



思い切り浩樹の顔を引っ掻いた。



『いてっ!』



浩樹が怯んで、手を止めた。



あたしは浩樹を睨み付ける。



『そんな顔すんなって、冗談だよ!ちょっと試したかっただけ!』



『何?試すって…』



『いや、こっちのこと!
でも安心したよ。
本気で龍司のこと好きなんだな』



『好きっていってんじゃん』



『愛されてんなぁ龍司!うらやましーよ』



『……』





―――龍司の車の音がする。



龍司帰ってきた!



よかった…