あたしはそのころから龍司の前では、

逃げようとする態度は見せなくなっていた。



言葉でも示した。



油断させて、隙があれば逃げ出そうという考えがあってのことだった。



そうしていれば、龍司は
優しかったからだ。



『どこにも行かないよ』


と言うと、

龍司は安心したかのようにあたしを抱き締めて眠るようになっていった。



龍司が深く眠ったら、



一度あのおばあさんと話をしてみよう。