龍司は何を考えてるのかいるのか、全くわからない。


早く眠ってしまえばいいのに。



この、異様な空気は、
とてつもなく長く感じた。


苦痛以外のなにものでもない。



早く逃げだすことばかり考える。



龍司が、立ち上がり、部屋を出ていった。



別の部屋で、バタン!と音がする。



そぉっと覗いてみる。



冷蔵庫から飲み物か何かを探しているようだ。



ここから死角になっていて、ちょうど姿が見えない。


今、逃げるしかない!!



あたしは今いる部屋のドアを、静かに静かに開ける。


どうか見つかりませんように…



龍司が歩いてくる音がする。



ヤバい!!!



靴が見当たらなかったが、そんなことに構っていられず、裸足で一目散に飛び出した。



だれか助けて!!



あたしは走った。



とにかくできるだけ遠くに…



誰か…誰か!! 



助けて!!



どうしてこんな時に限って誰もいないの!!



後ろから車の音がする。



龍司の車だ。



焦る気持ちと裏腹に、
足がもつれる。



あっというまに追い付かれ、あっさり龍司につかまってしまった。



―――ゴッ!!



頬に鈍い痛みが走る。



……痛い!!



一瞬何が起こったのかわからなくなり、すぐに気付く。



あたし、龍司にグーで殴られたんだ。



『あんま、なめたマネすんなよ?』



あたしはそのまま、連れ戻された。