無言が続く。



龍司は何も言わず、あたしは何もしゃべれない。



突然、その空気をかき消すかのように、携帯の着信音が鳴り響いた。



誰でもいいから、助けを求めたい心境だったけど、

今の状況ではとても無理だ。。



―――キキィーー!!



龍司が車を急停止した。



『出ねーの?電話。』



『……』



『携帯貸せよ。』



あたしは震える手で、携帯を手渡した。



携帯の画面には、男の名前が表示されている。



キャバクラの客だ。



『ふ〜ん?』



龍司はそう言うと、



―――バキッ!!



携帯をまっぷたつにした。


そして、折れた携帯を車の外に投げ捨てると、また走りだした。