真由美と買い物に出ようと、マンションを出たとき、


『真由美!!』


呼び止める声がした。



振り向くと、少しやつれた小柄なおばさんと、メガネをかけた、優しそうな感じのおじさんが立っていた。


すぐに(真由美の両親だ)と直感した。



『ババァ、何しに来たんだよ!』


真由美が叫んだ。



『どうしてそんな言い方するの?帰るわよ!』



『うるさい!ウザイんだよ!絶対帰らない!』



真由美はそういうと、一目散に走ってどこかに行ってしまった。



あたしはどうしていいかわからずに、真由美の両親にむかって頭をさげた。



真由美の母親はツカツカと歩み寄り、



―――バシッ!



あたしに平手打ちをすると、その場で泣き崩れた。



『…真由美は…真由美はあんな子じゃなかった…
あなたみたいな子と付き合うから… うぅ…』



『やめないか!』



真由美の父親が歩み寄り、
『すみません。あなたのせいじゃないんだ』

とあたしにふかぶかと頭を下げた。


真由美の母親は、

『どうしてよこの子のせいよ!』

狂ったように泣き叫んでいた。



真由美の父親は、

『今、私たちが真由美を無理矢理連れ帰っても、状況を悪くするだけでしょう。ただ、心配しているということだけは真由美に伝えておいてください。』



静かにそう言うと、

嫌がる母親を車に乗せ、帰っていった。



真由美の母親には、
全く腹は立たなかった。



いい両親だと思った。



真由美は愛されている。



ちょっぴり羨ましかった。