真由美が突然うちにやってきてから、もうすでに三月は終わりを迎えようとしていた。



真由美はもうすぐ、学校がはじまる。



その頃から、真由美は
『あたしも、高校辞める』と言い始めた。



あたしも、このまま真由美がいなくなるのが嫌だと思いはじめていて、

家に帰ったほうがいいなんて、言ったことはなかった。



あたしたちは一緒にいて、お互い一度も親の話をしたことがなかった。



こんな生活が壊れてしまうような気がして、

触れないようにしていたのかもしれない。



うちの両親から電話がくることはなかった。



逆に心配して、しつこく連絡されるよりは、そのほうがあたしにとっても好都合だった。



ときどき、

(真由美の親は心配してないのかな)

という考えが、頭をよぎったけど、口には出さなかった。



あたしんちも、こうなんだから、真由美んちも大丈夫。なんて、自分の都合よく考えた。



でも、それは違った。



真由美の親が、突然うちにやってきたのだ。