龍司が近づいてくる。



あたしは恐怖のあまり、声も出せず、立ち尽くしていた。



(来ないで…誰か助けて!)



頭の中がフラッシュバックした。



封印していた忌まわしい記憶がよみがえる。



――やめて!!――



手足を押さえ付けられ、口をふさがれ、代わる代わるに……





あたしはレイプされた。



中学3年の学校の帰り道だった。



知らない男たち。



必死で抵抗したけど、かなわなかった。



あたしはその日、処女を失った。



身も心もボロボロだった。


そのまま泣きながら家に帰った。



ボロボロのあたしをみて、
母親は『何があったの』
とは言わなかった。



まるで、汚いモノを見るかのように、



『なんで、こんな子になったんだろう。早く着替えなさい!』

って言ったんだ。



父親までも、
『めそめそするな!』
と怒鳴った。



――あたしが悪いの?



この日から、親への期待は、一切やめた。



同時に、強くなろうと思った。