びっくりして立ち尽くしていると、


『一緒にきてもらえませんか…

あそこに座ってる俺の先輩なんですけど……声かけてこいって頼まれて…

一緒きてもらえないと、俺ら殴られるんで、お願いします。
助けると思って
一緒にきてください…』




弱々しく男が言った。



『はぁ?なにそれ。』



男の指差す方をみると、

がっしりした体つきの、いかにも悪そうな男と、

やけににこにこした、胡散臭い男が二人こっちを見ていた。



『ありえないよね?』



真由美を見ると、


『気にいっちゃった』



やけに乗り気だ。



真由美が耳もとでささやく。


『ナンパされてんだょ。うちら。

いぃチャンスじゃんっ、
カラオケいくつもりだったんだからさ、

一緒にいこうっつっておごらせちゃおうよ』




真由美がそう言うまで、ナンパだということにすら、気付かなかった。



それより、こんな声のかけ方ってアリ?


なにより目の前のこの男はなんなんだ。



『もしかして、ビビッてる?』



真由美の言葉に、


『そんなわけないじゃん』

変なプライドが邪魔して、男たちの方に向かっていた。