二人で他愛ない話しで盛り上がってるうちに、

あっというまに日が暮れていた。



『もう8時じゃん!』



『ほんとだ!そろそろカラオケ行く?』



そっちがかわぃいとかこっちのほうが似合ってるだとか、言い合いながら、


自分たちなりのめいっぱいのお洒落をして、夜の街に繰り出した。



気付けば23時。



昨日までのさみしい時間が嘘のように華やいで見えた。



あくびをしたあたしにむかって真由美が言う。



『夜はこれからじゃん?』


あたしは夜の街は初めてだったけど精一杯慣れてるふりをしてクールに振る舞った。



それにしても、真由美の奴、なんでこんなに道知ってんだろ…



真由美に案内されちゃってるよ



そのときだった。



『すみません。ちょっといいですか』



後ろから声をかけられた。

振り向くと唇から血を流し、顔の腫れあがった男が立っていた。