『とりあえずなんか食べよっか』



と言っても出すものはなんもない。


冷蔵庫もすっからかん。



『あっ!そうだ』


前、買ったまま棚に放り込んでいたカップ麺があったことを思い出した。



二人で半分こして食べた。


『なんかたのしーね!』



真由美が言って、二人で笑った。



『なんかさぁ、こういうのいいよね。

今日さ、結城んちに泊まってもいぃ?』



『いいよ!それなら、カラオケは夜いこっか』



『決まりまっ、最初から泊まるつもりできたんだけどさっ』



そういわれると確かに今日遊びにくるだけには多すぎる荷物の量だった。



久しぶりの学生気分。

高校のイヤな先生や、ムカつく奴、

そんなことで何時間も盛り上がった。




『なんかさぁ、こんなに結城と気が合うなんて、学校にいるときは気付かなかったよ!

もっと早く仲良くなってたらもっと楽しかったね』



『ほんとだょ〜!』


正直、学校にいるとき、あたしは真由美が苦手だった。

ヤな奴ってイメージしかなくて。


だからあたしも意外だった。


『あたしさ、結城のことちょっと苦手だったんだよね。
なんか、ツンツンしてるっていうかさぁ、ちょっと近寄りがたかった』




『それはあたしも思ってたよ〜!ぶっちゃけ嫌いだったもんね。』



『そこまで言うかぁ?』



『お互いさまだよ』



その日、あたしの携帯のメモリは、「指定なし」から、真由美=友達に変更された。