「どうした、司。」
おじさんはせっかく
盛り上がっているところ
先生が口を挟んだのが気に
くわなかったみたい。
「希愛に渡したいものが。」
先生はポケットの中から箱を
取り出した。
「開けてごらん。」
渡された箱をそっと開けてみる。
中には結婚指輪がふたつ並んでいる。
「左手出して。」
先生がわたしの左手の薬指に
指輪をはめてくれる。
「先生サイズどうして知ってるの?」
「課題の提出時とか、けっこう
真剣に指見たりして。
まぁ最終的にはおばさまの
アドバイスを参考にさせて
もらいましたけど。」
「そうだったんだ。」
「俺にもはめてくれるかな。」
「はい。 」
わたしは震える手で先生の左手
の薬指にリングをはめた。



