「検温です。」
看護婦さんの声で
先生が目を覚ます。
「希愛起きていたのかい?」
「うん。」
「冬星さん、この後診察
して、経過が良好なら午後にも
退院されて結構ですよ。」
「ありがとうございます。」
先生が、頭を下げる。
病院にも、ものすごい
迷惑をかけた。
今回のことでわたしは
周りの人にどれだけ迷惑
かけたか、謝っても謝り
たりない。
先生が、ずっと頭を下げて
謝りまわってくれた。
先生は、きっと自分を
責めているんだろう。
「でも、退院したからって
無理はいけませんよ。」
病院を抜け出したわたしは
婦長さんに、かなり怒られた。
だから、看護婦さんたちは
念には念をって感じでわたしに
話してくる。
「はい。」
ここは、おとなしく
素直に返事をする。