【ガラッ!!】
静まり返った病院に
勢いよくドアを開ける
音が響いた。
「先生、優衣は、優衣は
どうなんでしょうか?」
朝倉の母親が駆けこんでくる。
朝倉の家は、母ひとり、子ひとり
で暮らしている。
早くに父を事故で
亡くして以来
保険の外交員の仕事
をして朝倉を育ててきた。
「わたしがついてながら
すいませんでした。」
「そんな。先生頭を上げてください。」
「大切なお子さんを預かって
おきながらこんなことになりまして、
本当にすいませんでした。」
「思ってたよりも、怪我も
大した事なさそうですね。
お電話頂いた時は心臓が
止まりそうでした。」
「すいません。 お嬢さんの容体
については担当の医師の方から
改めてお話しがあると思いますが、
ケガのほうはたいしたこと
ないそうです。
傷も残らないそうです。
ただ頭を打った可能性を考え
2~3日の入院を
勧められました。」
「そうですか。 わかりました。
先生も大変でしたでしょう。
他の生徒さんはどうされて
るんですか?」
「理事長がついてくれてます。」
「先生も後はわたしが優衣について
ますんで他の生徒さんの所に
帰ってあげてください。
優衣がこんなことになってきっと
生徒さん達も心細くされていると
おもいますわ。」
「なにかありましたら、すぐに
連絡ください。
あした又お伺いします。」
俺は、真っ暗な夜道を
タクシーで飛ばした。



