宛て名のないX'mas

―…

翌日。

「ふ、ふわーくしょん!…あー」

「あら、風邪?

それにしても、めずらしいわね、裕美が手伝ってくれるなんて」


夕方、裕美は何を思ったのか、エプロンをして店を手伝った。

お客さんがちらほら入り出した。


水道で手を洗いながら、


「あたしだって、たまには親孝行するんだよ」

と笑って、よしっと気合を入れた。



裕美は今日の朝、孝志にお詫びのメールを送った。

孝志は、「久しぶりに失恋した」とか言って笑って祝福してくれた。



里奈は「やっぱり、裕美と亮太くんが一番合ってる」と言って、自分のことのように喜んでくれた。

ちなみに、武田くんとは、順調らしい。



「こんばんはー」


森田が首を縮めてお店に入ってきた。


裕美は、素直に、「いらしゃいませ」と言って笑った。



その笑顔を見て、森田は一瞬あっけにとられ、

じーんっと感動したように、かみ締めるように笑って、「とりあえずビールで」と言った。



その様子を見て、敏子も幸せそうに微笑んだ。

裕美も照れくさそうに笑い返した。



裕美は森田との結婚のことで敏子とたくさん話し合った。


本音も全部言った。

そうしたら、今まで以上に分かり合えた気がした。



敏子には、一番大好きな人と一緒になってほしい。

裕美は、素直に応援することを決めた。



森田ともうまくやっていこう。

大丈夫、すごく優しい人だから。


何より、敏子が好きになった人だから。


森田はビールをくいーっと飲んでから、思いついたように言った。