宛て名のないX'mas


しばらく黙ってから、亮太はさらに目を細くして笑った。


「サンキュ。もらっとくわ」

「あ、うん」


裕美は亮太の嬉しそうな笑顔を見て、思わずホッとした。

結局いつもペースに乗せられるんだよなぁなんて思いながら。



(ああ、あたし、やっぱり亮太にあげたかったんだなぁ)



裕美は心から嬉しくて、笑い返した。


「……」

「……」


また沈黙が流れた。あれ?


「雪だ!」


ひらひらと雪が舞い降りてきた。

二人は空を見上げて、はしゃいだ。



サンタさんからのささやかなクリスマスプレゼントかもしれない、と裕美は思った。

亮太も思った。


ホワイトクリスマスなんて、何年ぶりだろう。

この上ないほどのシチュエーションに感動し、二人は何だか照れくさくてしばらく黙っていた。


雪がふわふわと髪の上へ落ちていく。ドキドキ。

胸は高まり、鼓動は速い。



裕美はチラっと亮太の横顔を覗き見た。


真剣な顔。

膝に置かれた拳が、そわそわと動いている。



「……(ちょっと、何で黙るのよ)」

「……」

「……(もしかして…?待って!心の準備が!)」

「…裕美」



きた!亮太の顔はどんどん裕美に近づいていき…。

裕美はぎゅっと目をつむった。



その時だ。