宛て名のないX'mas


―…


【Re:メリクリ☆】

裕美、今日は孝志先輩とのデート頑張ってね!あたしは、武田くんとこれからデートです♪しあわせ(*^_^*)お互いにロマンチックなクリスマスが過ごせるといいね☆じゃあ、後で語り合おう!』


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裕美は待ち合わせの30分前に着いてしまったので、遊園地の前で里奈からのメールを開いた。


うまくいっているみたいでよかった。

裕美は思わず微笑んだ。



遊園地は人で溢れていた。

イルミネーションが美しく輝き、恋人たちは皆その幻想的な雰囲気に酔いしれ、お互いの大切さを改めて実感している。



裕美は、まだ心のモヤモヤが取れずにいた。



孝志が好きなら問題ない。

大好きな人とロマンチックなクリスマスが過ごせるんだから。


ただ裕美の頭の中で、昨日の亮太の寂しそうな顔が何度も何度も浮かんで、きゅっと胸が締め付けられた。


笑顔とか、寝顔とか、真剣な表情とか、色んな亮太の顔が溢れて、止まらなくなった。



裕美は必死でそのイメージをどこかへ押しやり、髪を整えた。



「裕美ちゃん、ごめん。待った?」



孝志が小走りで駆け寄ってきて笑った。

裕美は、ハッとしてから笑い返して、「今来た所です」と返した。



孝志は相変わらずかっこよくて、隣で歩けるのが夢のよう。

周りの人がちらちらと孝志のことを見ているような気さえする。