何でだろう?
今、亮太とそんな話はしたくなかった。
亮太には、今のセリフは言って欲しくなかった。
裕美は何も言い返せなかった。
好きだよ?間違いじゃないよね?
ここで言い返さなかったら、孝志への想いが嘘になる気がして。
「うん。好きだよ」
「…そっか。いいじゃん、頑張れよ。まあ、お前と先輩じゃ、ちょっと釣り合わないけど」
「どういう意味よ?」
「嘘だよ、バーカ」
亮太が目を細くして笑う。
けど。
「何よ、ガキ!」
裕美が亮太をバカにして舌を出す。
けど。
いつも通りなはずだけど。
(何か、会話、ぎこちない)
「でもお前、あれはやめろよ」
「あれって?」
「先輩、お前のこと、上品とか、けな気とか言ってたよ。
俺、笑っちまったもん。そんな演技なんかすんなよ」
(何、それ)
「演技なんか…」
痛い所をつかれた気がした。裕美の心は大きく揺さぶられる。
心なしか、亮太の声は少し冷たい。
いつのまにか、笑顔も消えて真剣な表情をしている。
そして、淡々と言葉を発していく。
「本当の自分見せられないんじゃ、本当に好きとは言えないと思うけど」
後ろ頭を思い切り殴られたような気がした。
裕美はかっと顔が熱くなるのが分かった。そして拳を握り締めた。

