「そうですか 
 では、質問を変えます
 
 今の彼のことを
 どう思いますか?」

戸惑う私を見つめる紫季先生
の目は、鋭く強い眼差しに
変わる。

「好きだという感情は
 ありません
   
 でも、彼が傍に居る事を
 嫌だとか辛いと思う事は
 無くなりました
   
 彼が会いに来てくれると
 聞けば、友達、歳の離れた
 兄に会えるような
 嬉しい気持ちになります」

「今のなぎちゃんにとって彼は
 友達であって、お兄さんの
 ような存在なのですね?」

「はい」

「そうですか、よかった…
   
 あっ、よかっただなんて
 医者である私が言っては
 いけませんでした
   
 彼にもなんて失礼なことを
 自分の感情も抑えられない
 ようでは医者なんて
 できませんね
   
 もともと医者は私には
 向いていないのですが・・」