「いいかげんにしなよ」

柊雨は彼女に、そう冷たく
言い放つ。
  
彼女は、恥ずかしさと
悔しさから涙ながらに
会場を後にした。
  
そんな彼女の後を追おう
ともせずに、煙草を銜えて
火をつけようとした柊雨。

凪子は、柊雨の唇から
煙草を奪い、頬を叩いた。

「最低・・・」

凪子はその場から離れ
真っ直ぐ夜の街を歩いて行く。

「何処行くの?」

「帰るんです
 付いて来ないで下さい」

そう言いながら凪子は
何処へ向かうでもなく
ただ道なりに歩く。
  
その後ろを柊雨は
ずっと付いて来る。
  
「どうして
 付いて来るんですか?」