紫季の腕に抱きしめられて
動くことのできない私。
   
いえ、違う・・・
  
『このまま時が

 止まればいい』

これが、今の私の素直な
気持ちなのだ。
   
紫季の腕が離れ、私に
背を向けた。

「ごめん
 僕の君への思いは
 君を苦しめてしまうね
 医者でありながら、僕は」

私には、紫季先生にかける
言葉が出てこない。
  
彼は、メモをとったノートを
見つめながら、必死に医者で
ある自分に戻ろうとしていた。

「そうだね・・・
 シュウさんとは、少し距離を
 置く方がいいかもしれないね
   
 彼との時間が苦痛に思う事は
 心身共によくない

 彼には私から治療の一環だと
 言う事でしばらくの間
 距離を置いてもらう方向で
 検討して頂くことに
 しましょう」