眠る心

繭子は、そう言い放って
紫季をまっすぐに見つめる。
 
紫季は、婚約者の面会時に
病室の外で自分が待機している
という条件で二人が逢う事を
認めた。

「病院へは、いつ頃に?」

柊雨の事、『ジニア』の事を
先生にお話しても良いべき
なのかどうかを

まだ少し悩み、戸惑いながら
繭子は重い口を開いた。

「その事なのですが
 彼は、有名人なので
 病院内での混乱が心配で」

「有名人と言いますと」
 
繭子は紫季に『シリア』という
ロックバンドのボーカルが
凪子の恋人で婚約者であること
を伝えると、紫季は驚き
つい返答の声も大きくなる。

「知っていますとも
 学生時代に、友達が
 コピーバンドをしていました
 それに、ボーカルに憧れる
 クラスの女子も多かった」