姉の繭子の、昔のライブ服を
借りて来たと言う、なぎの姿
は光沢のある黒いジャケット
にパンツ、白いシャツに
ベストを着て、ネクタイを
締めていた。

その姿は、華奢ではあるが
男の子に見え
とても似合っていた。     

「これなら、男性に
 見え無くも無いでしょう?
    
 ホテルの前、すごい報道陣が
 いたよ

『新堂さんの関係者の方
 ですか?』って
 声をかけられた時は
 女だと、ばれたりしないかと
 ・・・・・
 
 しゅうちゃん?」
   
室内へ入りながら話す
なぎの後姿を、俺は強く
抱きしめた。
  
「ごめん
 不安な気持ちにさせて」

後ろから回された俺の腕に
自分の手を重ねた彼女。
  
俺は、撮影のキスは本当の事だ
と、ありのままに伝える。