「なぎちゃん、よかったね
 
 本当によかった」

しゅうちゃんの隣に座る私は
紫季の顔を、一度も見る事が
できずにいた。

私はただ、俯いたまま
心の中で、ずっと
紫季に謝り続けていた。

紫季は、自分に返す言葉の
出ない凪子に、主治医として
精一杯に振る舞う。

「全て事故による
 症状だったのです 

 早く忘れなさい」

「しき・・・、先生

 ごめんなさい 
 
 今までありがとう」

紫季の言葉に凪子は救われる。

そして、紫季は
この部屋を後にした。

貴方の後姿を見送りながら
私の心は痛む。