『傷つけない』

と、言いながら
俺はまた、なぎを傷つけた。

「なぎ、ごめん」

なぎの頬を涙が伝う・・・

その涙を、彼女は手で
何度も拭った。

乱れた髪を一つに束ねた
彼女は、俺を冷めた目で
見つめて言う。

「もういいよ
 私達、別れよう
   
 しゅうちゃんが
 仲間を大切に想う
 気持ちは分かるよ

 だから、私
 いつも我慢してた
   
 だけど、今日だけは
 許せないよ

 抱かれて
 それじゃバイバイって・・

 私は、都合のいい女
 じゃない、正直
 もう耐えられない
 
 私、帰る」
 
「送っていくよ」

なぎは、俺の手を払う。
  
「いいよ、自分で
 タクシーをひろうから
 さようなら」