あの事故の日
私は、出来上がった
ウェディングドレスの
最終チェックの為、あの場所に
いた事を繭ちゃんから聞く。

今思うと、そうだったような
気がする。

微かにだけど・・・
  
その帰りに雨に降られた私は
あのタクシーに飛び乗り
事故に合ったのだ。
 
柊雨は、凪子がもうこれ以上
苦しむ事の無いように
ドレスを破棄するように
繭子にお願いしていたのだが
  
繭子はどうしても、ドレスを
捨てる事ができず
クローゼットに隠して
置いたのだった。
  
「ごめんね・・・」
 
「ううん、まゆちゃん
 捨てずにいてくれて
 ありがとう
   
 このドレスを着る事は
 もう無いと思うけど
   
 こんなに素敵なドレス
 見た事ないよ
   
 私、うれしい」
  
私は両手にドレスを抱き

私の瞳から、涙が流れた。