貴方は、私の肩を抱き
微笑んで言う。

「これから、俺の事を
 先生では無く
    
 シキと呼んでほしい」
   
凪子は頷き、その名を呼ぶ。
   
「しき」

「もう一度、呼んで」

「しき」

貴方は、にこっと

少年のように笑う。

私もその笑顔に釣られて
笑う。

楽しい時間は過ぎるのが
とっても早い。

繭子と過ごす、凪子の家の近く
に車は停車する。

「しき
 送ってくれてありがとう」