眠る心

それから
退院の日が近づいても
凪子は、全く記憶を
取り戻さなかった。
 
今日は、柊雨は地方での
ライブの為に病院には来れない
 
病室から見あげる空は
夕焼けで赤く染まっていた。
 
そんな穏やかな時間を
二人きりで過ぎて行く中で
繭子は、そっと話を始める。

「なっちゃんは
 シキ先生の事が
 好きなんでしょう?」

凪子は姉の言葉に、窓の空と
同じように頬を染める。
 
自分の今の気持ち、考えを
素直に全て繭子にぶつけた。
 
「記憶を無くして
 不安な気持ちでいっぱい
 だった、私の傍には
 いつも、しき先生が居て
 笑っていてくれた

 その微笑に、私は心から
 安心できたの」