繭子は、驚き立ち上がる。

膝の上に置いていたジュースを
地面に落とし、ジュースは
コンクリートの上を
転がっていく。

真剣な表情で見つめる柊雨の
瞳から目を逸らす事無く
紫季は、柊雨を見つめる。

「はい、私は
 なぎちゃんが好きです
   
 彼女も、私の事を好きだと
 言ってくれました」
   
繭子は、その言葉に驚く。

「そんな・・・
 嘘でしょう?」

「まゆちゃん、本当の事なんだ
 
 俺もさっき、なぎの口から
 そういうのを、ツカサと
 一緒に病室の前で聞いたよ」

取り乱す繭子は席を立ち
窓から見える景色を
ただボーッと見つめている。

「シュウさん、あなたに
 とっては、すごい残酷な
 話だと思います
   
 私も医者である事を忘れて
 彼女に告白してしまって
 いました
 
 この思いを止める事が
 できなくて・・・」