「急げっ!!ほら、郁美!!」


私は徹平に腕を掴まれ、引っ張られる。


「きゃっ、徹平!!」


いきなり掴むものだから、びっくり以外に言葉はない。


「…っ…あたしらも行こ!!恭!!」


「あ、あぁ」


恭は奈々に引っ張られている。


…いいなぁ、奈々。


そう思って恭を見つめていたあたしの目に、少し衝撃的なものが映った。



…恭、少し微笑んでる…?


その上、少し顔が赤い気がする…


…気のせいかな?


…気のせいよね?



少しだけ痛む私の胸をよそに、徹平は私の腕をギュッと掴んで学校へ向かうのだった。