「…そうだよ。
 これは永遠じゃない。
 実在した人生でもない」

「えっ」



俺は紗奈の声で夢から覚めた。

「幸せだったでしょ?
 なのに
 あなたは幸せすぎて恐いと言った」

「何でそれをっ」


「…全部聞いてたわ。
 だって
 ここはあなたの心なんだもの。

 幸せはたまにあるからいいの。
 幸せがずっと続くと
 あなたみたいに幸せが怖くなる。
 あなただって
 あんな毎日の中でも
 幸せなことあったでしょ?」



そうだ…
本当に小さな幸せだったけど
あんな毎日の中にも
確かに幸せはあった。