それに俺は、詩織ちゃんを大事にしてあげられない。
そういう立場にいるんだよ、俺は。
そして、俺は今まで散々女を利用してきた人間だ。
今更何言い出すんだって。
そんな人間が、詩織ちゃんといちゃいけない。
「・・・・・・なんかさ。」
俺の話を黙って最後まで聞いていた潤が、煙草の火を消しながら口を開いた。
「何?」
「お前もだろうけど、なんか俺もビックリ。」
「何が?」
「お前の口からそんな言葉聞く日が来ると思ってなかった。」
「・・・そうだな。」
「・・・・・・マジで好きなんだな、お前。」
「・・・そうなのかな。」
「好きなんだよ。その子のこと。それが好きってことだよ。」
「・・・・・・」
「もうすぐ24で初恋か。大人になってからの初恋はきついな。」
潤に寄ってきたリーを、潤が抱きかかえた。
自分のひざの上に乗せて、毛並みに沿って撫でてる。
リーは人なつっこいから、気持ちよさそうに嬉しそうに座ってる。

