俺が目を逸らしてそう答えても、ずっと詩織ちゃんが俺を見てることはなんとなくわかった。
でも、見れなかった。
詩織ちゃんの目を見て話せなかった。
詩織ちゃんの目を見れなかった。
涙が溜まった詩織ちゃんの目は、いつも以上に真っ直ぐで。
真っ直ぐ前を向いたことのない俺は、見つめていられなかった。
「・・・終わりにしよう?」
「・・・・・・・・・」
「もう俺と詩織ちゃんが会うの、これで最後。」
「・・・・・・・・・」
「ごめんね、飽きちゃった。」
「・・・・・・・・・」
詩織ちゃんは黙って鞄を持ってリビングを出て行った。
「あんなこと言って何だよって感じかもしれないけど送ってくよ、もう遅いし。」
「・・・大丈夫です、1人で帰れます。」
「危ないよ。」
「大丈夫です、タクシーでも捕まえますから。」
「そう?」
「・・・・・・・・・さよなら。」
詩織ちゃんはそう言って俺んちを出て行った。

